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エーテルリング1

2009.05.23 *Sat
ある少年と少女の、
世界と交わる過去と現在と未来の話。

邂逅(かいこう)1



この手紙が届くころ、もしかしたら私は町にいないかもしれません。
今ちょうど、荷物の整理が終わって旅立つところです。お別れの挨拶はなし。顔を合わすと出発しにくいからね。
旅に出ることは最初から決めていたのだけれど、君が大事な友達なのは代わらない。だから君が文通をしようといってくれたときはとてもうれしかったよ。でも、住所不定になるから無理だろうなとあきらめていたら君が伝書鳥まで用意してくれた。すごくうれしい、わざわざ用意して文通しようとおもってくれた君がいるということがすごくうれしい。
ありがとう。伝書鳥のこともだけど、今までのことも全部ひっくるめてありがとう。
なに、きもちわるいって?別れの挨拶をしない分、手紙はちょっぴり素直なのさ。なので文句言わないで返事をおくれよ。とても楽しみにしているんだから。

アンリより


それが、同じ空の下にいても会うことはないとおもった友人との最初の手紙。


10年まえ。

真っ暗な闇の中で、子供がひざをついて泣いていた。恐怖に胸を締め付けられ、体はがちがちと固まって縮こまっていた。涙をぬぐうためか、暗闇から目をそらすためか、まぶたの上を小さなこぶしが左右に動く。
子供の押し殺した嗚咽は、小さくて風の声のようにか細かった。だがそこには他の音などなく、子供の泣き声は確かな存在感をかもし出していた。
のそり、何かがゆったりと動く気配がした。子供は恐怖を顔に貼り付けてはっと息を呑む。―――ここにはとても恐ろしいものがいる。それは子供の住んでいた場所ではとても有名なうわさだった。その有名なうわさが子供たちの間で肝試しに利用されていた。気が弱い自分はもちろん肝試しなんてしたくなかった。けれど、一番仲間内では年下であるためいやとは言えず、無理についてきたのだが、同じ理由でからかわれておいていかれてしまったのだ。
見えない暗闇の中で全神経が冴え渡った。ふうう、生ぬるい風が音を立てて体を覆うようにかかった。

……せんねん…。

呟きが聞こえた。風とともに聞こえていたものが、はっきり声として聞こえる。

1000年待ってやっと現れたのは、こんなこどもか…。

何者かの声が一度途絶え、子供の前で光がともった。それは太陽をぐっと小さくしたような光で、光のまぶしさは夜の街にともる街灯のような明るさだ。だがそんな不思議な光も今の子供には驚きの要素ではなかった。もっと驚いて、頭を真っ白にさせるものが眼前にあった。それは子供の頭よりも大きな黄金の瞳が二つ。
声が言う、とても静かに。

かねてから待ち続けた契約者。さあ契約をするぞ。
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