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銀の君の花嫁2

2009.01.11 *Sun

目が覚めたらベッドの上でした。
6畳間だった自分の部屋と大差ない広さの部屋だった。床も壁も天井も灰色の石で威圧感があり、自分の顔の大きさくらいの小さな窓がひとつ、いかにも硬い木で監視窓のような隙間があるドアが一つ。自分が寝ているのと大きさが大差ないシングルロングの硬いベッドだ。自室のベッドはマットがなくて背と腰が痛くなったために敷き布団を二枚しいて眠っていた。それよりも硬いベッド。板間でそのまま寝るほどの硬さは感じないのでなるほどこれは敷き布団が一枚であるななどとシアンはどうでもいいことを判断する。
わーぷ、わーぷ。やーい…。
両腕をあげて万歳して、声に出すのははばかられたのでシアンは心の中ではしゃいでみたが、突っ込む相手もいないしむなしいだけなので考えを切り替える。さてこれはどういう状況だろう。
さっきとは全く違うけどこれは続・幻覚及び夢の中の状態なのだろうか。
幻覚症状とは、薬物依存でなければおこらない。いやちがうか、別に薬物だけで幻覚が見えるわけじゃない、確か正しくは幻視か。でもだからといってどうなるというのだろう、私は薬物に関してはオールクリアだし、お酒も全く飲んではいない。となると疾患によるもののはずだがそんな一瞬で自分が病んだだなんて考えられない。
シアンは更に頭をひねりにひねった。嗚呼、デジャブ。さっきと同じことを考えているような気がする。やばい、やばいぞう。何だか緊張して混乱してきた。ぱにくっちゃいそう。考え事を続けてパニック回避しなきゃ。動悸なんて聞こえない…。
ええっと、まったく違う場所に来ましたって記憶障害になるんだろうか?というか全部変わったら五感全部と記憶力の問題?何らかの方法により認知力が低下したのか?
いや待て、お待ちなさい。日本人に素敵な銀髪も甲冑が動くようなホラーなことが起こるのは現実的じゃない。探せばどこかで―――映画のセットを見に行くとか―――あるかもしれないけれど。とりあえず隣にわいて出る日常じゃないことは確か。そうとなればますます自分の常識と知識外になってしまう。
高まる動悸は耳元で鳴り響くほど鮮やかに聞こえ出した。
幻視の領域に入るとすれば個人的解釈の中で脅迫概念の最終形態である。私ってばそんなに追い詰められるほどストレスたまっていたのかしら。大好きなポテチかじってたのに。
そんなことを考えてシアンはまた自分の考えが脱線していると思った。考えれば考えるほど。現状打破が出来ないことばかりである。頭に響く動悸が離れなくなり、目に涙が溢れてきた。自分の鼓動が自分で恐ろしい。頭の中が飽和して、泣いて暴れたい気がしてきた。
一番考えたくないのは異世界迷い込みなんてなんちゃってどうしよう妄想領域のファンタジーだけど、自分それで引っかかったら嫌だなぁ。自分が病んでると認めるよりいや。ああ、自分のお部屋帰りたい。
シアンは頭を振った。顔の筋肉が引きつっている。こういう状態までくるとシアンは自分の感情を抑えられるぎりぎりの状態であることを自覚していた。これ以上は冷静な判断も出来ない。でないといけない。こんな狭苦しくて圧迫的な部屋にいたら精神衛生がもっと悪くなる。
ドアを押すと、開いた。鍵はかかっていなかった。部屋の外は言わずもがなというように石畳の廊下だった。見渡すと封鎖的なことに窓は見当たらないがこちらのほうが何故か明るい。ドア横に甲冑。シアンの心臓が飛び出しそうなぐらいはねた。体長はシアンの頭1つ分ほど上だろか。とりあえずいきなりいると心臓に悪い。
「あ、こんにちは」
しかし律儀にシアンは挨拶をしてしまった。日頃の行いで癖である。しかし相手からの返事は帰ってこなくて、シアンは相手はただの鉄の塊で飾りじゃないんだろうかと思った。中身がいないならさっさと移動してしまおう。
「お部屋にお戻りください」
一歩踏み出すと、くぐもった声が聞こえた。思わず身がはねる。どうやら中身はいたらしい。シアンは安心して少し脱力した。安心出切るかは別として、言葉が通じる相手がいるのはすごく安心する。
「ここってどこですか」
「医療区域の個室のある場所です」
すばやい回答が返ってきた。ああ、何だか真っ当な回答。確かにそうだよね、倒れたんだから医務室はこぶね。おかしくないね。でも聞きたい答えはそれじゃない。聞き方を間違えたなぁとシアンは少し考えた。
「じゃあ、何で私はここにいるんですか」
今度は大丈夫だろう。だが、甲冑は答えない。沈黙を得て、どうやら話せないことのようだと理解する。
「目覚めたようですね」
「うわー!出たー!」
驚きながら背後を振り返ると先ほど柏木さんを捕まえていた黒髪の男がいた。足音が聞こえなかったにもかかわらず降ってわいたように現れた。シアンは心臓に悪いほどまたどきりとした。
「……あなたに、話があります」
男の顔は険しい。シアンは身を硬くした。
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